デイリーレポート(2022年6月14日配信)

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WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

週明けのドル円は金曜NY市場でのドル高の流れを継続し昼過ぎに一時135.20レベルと1998年以来の円安水準となりました。しかし2002年高値135.16レベルをトライした達成感と10年債利回りが上限の0.25%を超えた動きもあって反落。その後は米金利上昇加速による株安からドル円、ユーロ円で円買いの動きとなりNY前場には133.59レベルの安値をつけました。NY後場にはWSJが0.75%利上げの可能性に言及し改めてドル高に戻り134円台半に戻して引けました。

ユーロドルはドル高の動きが終日続きました。米金利上昇の動きと歩調を揃える流れでNY引け間際には1.0400レベルまで水準を切り下げて安値引けとなりました。

ドル円は135.16レベルのターゲットをつけたことで達成感は出ましたが、円の10年債利回りが日銀が指値オペを実施する上限を超えたことで、今週末の日銀会合で何か議論が行われるのではとの憶測も出ましたが、おそらくは一時的な現象で黒田日銀は0.25%を死守すると思われます。

米国などでは海外の債券購入者も多くそもそもイールドカーブコントロールなど需給の影響が大きく無理な話ですが、日本ではほぼ国内で消化されているために実施できているのですが、当然ある程度の需給もあり今後金利上昇(債券安)になる可能性があるならば売ろうかという市場参加者がいてもおかしくありません。日銀のみが緩和を続ける方向に対して反旗を翻す最初の動きが出始めた可能性もあり、今後日銀会合に向けての動きは要チェックでしょう。

またWSJには有名なフェドウォッチャーがいて、FRBに代わってプロパガンダを上げることがあります。今回の0.75%の可能性の記事もそうした可能性がありますが、既に6月0.5%、7月0.75%という取引水準がFF先物で見られていたことを考えると、一部で0.75%もありうるという見方は既にあったわけです。今回の記事でFF先物は6月0.75%、7月0.75%と次の2回で1.5%の利上げを織り込んだ取引となっています。

この動きを受けて米国株式市場は急落しNYダウは一時1000ドルを超える下げを演じましたが、この株式市場のリスクオフをFRBがどう取るかが注目です。ここからもさらに下げる可能性はあってもインフレを抑える方向に動くか、あるいは0.5%の利上げにとどめて株式の反発を狙うのか、明日まで思惑が渦巻きそうです。

本日は昨日同様に3主要通貨ペアともに戻り売りが出やすい流れを考え、以下のレンジを見ておきます。
 ドル円  133.60〜134.60
 ユーロ  1.0360〜1.0445
 ユーロ円 139.20〜140.20



配信日:2022年6月14日