デイリーレポート(2022年6月13日配信)

著者画像
WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

ドル円は東京市場では週末前のポジション調整と見られるドル売りが先行、後場には財務省、金融庁、日銀が為替相場の急変動は望ましく無いとの共同声明を出し、財務官も最近の円安を憂慮とこれまでよりも一歩踏み込んだ表現を使ったことで一時133.36レベルの安値をつけました。しかし海外市場に移るとユーロドルを中心にドル買いの動きへと転じ、米国CPIが予想を超える8.6%となり米金利が3.178%まで上昇する動きとともにドル全面高となり、ドル円は東京朝の高値圏に戻して引けました。

ユーロドルは東京市場では動きが鈍かったのですが、欧州市場では改めて前日ECB理事会での7月からの利上げによるスタグフレーション懸念が再燃しユーロ売りとなっていたところに強い米国CPIが重なって1.0506レベルまで水準を切り下げ安値引けとなりました。

ドル円は134台半ばまで円安が進行したことで金融担当の3者共同の声明が出されましたが、これまでよりは強い態度ではあるものの介入が出ることは無いであろうことから、週明け早朝の市場では既に先週高値を上抜けてきました。2002年高値135.16レベルを試さないと気が済まない流れになっていると見られますが、同高値を超えると1998年高値147.67レベルまで目立ったレジスタンスも無く、当局は一段と警戒を強めてくると見られます。

高インフレ下で米国の介入協力が得られない中でどうするか、規制はできないので実需筋に水面下でドル売り先行を要請するとか、あとは今後数ヶ月の本邦CPIを見て日銀が出口戦略を考える方向転換を示すか、後者はすぐにできることでは無いものの、唯一の緩和政策日銀が流れを変えるとなれば、それなりの効果は期待できるでしょう。

長期的に弱い日本、弱い円という流れを決定づけないためにも海外からの投資を呼び込むような政策が必要になりますので、ここは短期的な円安は諦めてしっかりとした提案をして欲しいものだと思います。

本日はどこまで円安が進むか、ユーロドルの下げも重なって要注意の週明けとなりそうです。本日は以下のレンジを見ておきます。
 ドル円  134.20〜135.30
 ユーロ  1.0440〜1.0530
 ユーロ円 141.00〜141.90



配信日:2022年6月13日