デイリーレポート(2022年6月9日配信)

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WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

ドル円は東京早朝から円安が強まり、前日高値133.00レベルを上抜けると着実に円安が進行する流れとなりました。NY市場では米金利が3.038%まで上昇する動きとともに134.48レベルと2002年以来の高値を更新し、引けにかけてはやや押して引けました。
ユーロドルは東京市場ではドル円とともにドル買いの動きから上値が重たい展開が続きましたが、欧州市場に入り発表されたユーロ圏1〜3月期GDP改定値が予想以上に強い結果となり、ユーロは対ドル、対円で買われてNY市場前場には、それぞれ1.0749レベル、144.25レベルの高値をつけ、高値圏でもみあいのまま引けました。

ドル円は円安が止まるどころか加速しています。日銀が大規模緩和を繰り返す中で米金利が上昇していることから2002年高値135.16レベルを見るまでは気が済まないという展開です。日銀も長期的には緩和から引き締めへと転換するのですが、どう考えてもすぐには無いという見方が円売りに安心感を与えています。欧米の急速な引き締めペースを見ていると日本も引き締めへの転換後は速そうなイメージはありますが、どんなに早くても10〜12月期以降であることは間違い無いでしょう。それまでにどこまで円安が進むのか、米国の利上げ進展とともにインフレが落ち着いてきた場合には介入の可能性は無いのか、考えると転換時は大きな動きが見られそうですが、今ではないことは確かです。

ユーロドルは欧州市場に入り発表されたGDP改定値がかなり強かったことからユーロドル、ユート円ともに上昇しましたが、円安加速の流れもあってユーロ円も2015年1月以来の高値をつけています。2014年12月高値149.79レベルがターゲットとなっていますが、本日のECB理事会後の会見内容によっては着実に近づいていく流れとなります。現在のコンセンサスは今月のQE終了とともに7〜9月期にはゼロ金利へ、そして10〜12月期にどの程度の利上げが期待できるのかに注目が集まりますが、同期間に0.5%以上の利上げが考えられる発言となると6月15日FOMCまではユーロ高が進みそうです。

本日はECB理事会の結果次第でユーロは一波乱ありそうですが、想定内の発言内容になると見て以下のレンジを見ておきます。
 ドル円  133.90〜134.60
 ユーロ  1.0680〜1.0750
 ユーロ円 143.50〜144.50



配信日:2022年6月9日