デイリーレポート(2019年10月9日配信)

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WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

東京市場のドル円は底堅かったもののほとんど動意の無いままに欧州市場入り。欧州市場ではブレグジットに向け英国の代替案による合意が困難なことにメルケル首相が言及、ジョンソン首相も合意は本質的に不可能と述べたことからポンド売りだけでなく、リスクオフの円買いとなりました。さらに次官級米中通商協議が難航している様子が伝わり、場合によっては週後半の閣僚級を待たずに中国代表団が早期に帰国する可能性も取り沙汰され一時106.80レベルの安値をつけました。NY市場ではそれまで動きが見られなかったユーロがポンドに遅れて売られ、その動きがドル円でもドル買い戻しとなりましたが、戻しも限定的で引けにかけては107円近辺に押して引けました。
いっぽうユーロドルは、東京市場から欧州市場前場までは底堅い展開が続きました。欧州市場に入りポンド売りが広がった際にもユーロポンドでのポンド売りも出ていたことからユーロは下げないままNY市場入り。ドル円とともに既に欧州市場序盤から下げていたユーロ円に引っ張られてユーロドルでも売りとなり、NY市場の後場には1.0941レベルまで下押し後、やや戻して引けました。

ドル円は一昨日と昨日の戻し高値で107.50をつけられなかったこともありますが、材料的にもリスクオフに結びつくものが多いだけに、目先の戻り高値は見た可能性もあります。米中通商協議次第ではあるものの、昨日出てきたヘッドラインからは今回の協議でもどうもまとまらず決裂、米国側もウイグル自治区の中国当局者へのビザ発給停止と、今回も通商問題を協議しているさなかに政治問題を持ち出してきている様子もあり、合意しなくてもいいというスタンスがありそうなイメージです。本日は中休みですが、明日からの閣僚級協議が始まるかどうかというレベルだと思われますので、実際の市場の動き以上に警戒してもよいと個人的には考えています。本日も戻り売り、107.20レベルをレジスタンスの106.60レベルをサポートとする流れを見ておきます。

ユーロはNY市場までは金曜NY市場からのもみあいの中で方向感の無い動きに終止しました。1.09台後半を何往復したのかという感じでしたが、昨日NY市場の下げで1.10の大台の上値の重たさを再確認し、ユーロ円とともにユーロ売りで動こうという流れが見えてきました。来週のEUサミットに向けブレグジット問題も合意が困難そうですが、果たして英国議会の望む離脱延期となるか、ジョンソン首相の望む合意なき離脱となるか、昨夕のメルケル首相発言を見ている限り、延期しても合意は困難とEU側が判断すれば、合意なき離脱となる可能性が一気に高まります。そうなると、ポンドは急落、ユーロも追随して下げることとなります。来週末まではあまりユーロ買いに回ることは賢明とは思えません。本日は戻り売りを考え、ユーロドルが1.0925〜1.0975、ユーロ円は116.90〜117.50とします。

レポート全文は http://www.ascendant.jp/gain/daily/Daily.pdf

週足チャートは http://www.ascendant.jp/gain/daily/Weekly.pdf

月足チャートは http://www.ascendant.jp/gain/daily/Monthly.pdf



配信日:2019年10月9日