デイリーレポート(2019年10月10日配信)

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WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

ドル円は終日底堅い展開が続きました。基本的には米中通商協議に対する期待思惑があること、日経平均株価が堅調で海外市場でも先物で買いが目立っていたことからリスクオンの動きとなりました。NY市場では週間高値を更新したこともあって仕掛け的な買いも加わり、一時107.63レベルをつけ引けにかけてはやや押してのクローズ。いっぽうユーロドルは、欧州市場までは前日の下げに対する調整からやや買いが出ている程度でしたが、欧州市場に入りユーロ円が底堅い動きとなっていたところに、ブレグジット代替案でEU側が譲歩とのヘッドラインを受け、ユーロドルは1.0991レベルの高値をつけました。しかし、相変わらず1.10の大台の上値の重さからNY市場では徐々に水準を下げる展開となりました。

NYの引け後にワシントンで行われていた次官級米中通商協議に関して、中国側から進展がないとの発言が香港紙に掲載されたことに反応し、それまでのリスクオンの動きが急速に巻き返される展開となりました。これまでも中国側の狙いは部分合意、米国側は部分合意は考えていないという立場でしたが、今週に入ってからの市場参加者は部分合意の可能性を好材料としてリスクオンに動いていたため、これまで同様のハシゴを外された状態になりました。しかし、その後の展開もまたいつも通りでリスクオフで下がったところはカウンターでドル買い、この動きは個人的には納得できませんが、アルゴリズムでも出ているとしか考えようがありません。

そして、今週に入ってからの米国側の政治、通商双方の発言や今後決定されるであろうことを見ている限り、この後の閣僚級通商協議は協議出来ずで中国代表団は今回も早期帰国という流れになり、今回も決裂というリスクがはるかに高いと考えられます。落とし所を探したい中国と、自分たちの思う通りに決めたい米国と、果たして溝が埋まるのはいつなのか、そうしたことを考えると本日はリスクオフにバイアスをかけドル円は戻り売りを考えたいところです。ドル円は107.45レベルをレジスタンスに106.95レベルをサポートとする流れを見ておきます。

ユーロドルはユーロもポンドも来週のEUサミット前にどこまで妥協できるのか次第ですが、もともと英国とEUとの双方の主張が交わることが無さそうなところへ、ギリギリになって一昨日は合意は無理だ、昨日はEU側が譲歩といまだ最終的な落とし所で調整が必要そうですが、米中間と異なり同じ欧州の一員としてまとめたいという気持ちは伝わってきます。ネガティブな意見は政治的な駆け引きの部分として考えると、今週末か来週初あたりには、バックストップ条項に修正をかけての合意になる可能性はやや高まってきたと思われます。まだ安心はできませんが、本日も押し目買いが出やすいと見ています。ユーロドルが1.0960〜1.1000、ユーロ円は基本もみあいから若干底堅い程度で117.65〜118.10とします。

レポート全文は http://www.ascendant.jp/gain/daily/Daily.pdf

週足チャートは http://www.ascendant.jp/gain/daily/Weekly.pdf

月足チャートは http://www.ascendant.jp/gain/daily/Monthly.pdf



配信日:2019年10月10日