デイリーレポート(2020年5月29日配信)

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WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

ドル円は東京市場では107円台後半の高値圏でのもみあいとなっていましたが、前日高値をトライできずに欧州市場入り。欧州市場では中国全人代で香港国家安全法が採択されたこと、またユーロドルが上昇する動きに沿ってドル円もじり安の展開を辿りました。NY市場前場には107.46レベルの安値をつけ、107円台半ばで上値の重たい地合いでの引けとなりました。

いっぽうユーロドルは、東京市場では前日高値をわずかに上抜ける動きは見られたものの、1.10台前半では売りも出て上値の重い地合いとなっていました。欧州市場に入り下値も限定的で底固めをしていたところ、NY市場に入りポンド高がきっかけとなりユーロドルも日中高値を上抜け、テクニカルに買いが強まる展開となったことから、後場には1.1094レベルと3月30日以来のユーロ高を見て、若干押しての引けとなりました。

ドル円はユーロ高の影響も大きくドル安となっていますが、昨日の全人代採択を受け、本日トランプ大統領が声明を出すこととなりました。すぐに制裁ということは無いと思いますが、一昨日には国務長官が香港の自治は失われたとも発言していることから、今後中国が香港に対して圧力を加えるような動きをした場合には制裁を発動するといった程度のことは言うでしょう。週末を前にドルが全般に弱い動きとなっていることから、トランプ大統領の発言次第ではリスクオフから一段のドル安の動きにつながる可能性があります。本日は107.75レベルをレジスタンスに107.25レベルをサポートとする流れを見ておきます。

ユーロドルは一昨日昨日と短期間ではあるものの、1.10台前半を3度目のトライで上抜けたチャートとなっていて、テクニカルには1.10台前半をサポートとする流れに変化してきたと言えます。欧州では復興基金に対して欧州委員会の案が好感されている様子ですが、独仏案が出た後には反対する国も出てきましたので、今回もすんなり決まるとも思えません。ここから一段高となるにはもうひとつ材料が必要というところです。本日は昨日高値圏でのもみあいを考え、ユーロドルが1.1045〜1.1095、ユーロ円はドル円の下げに注意しながら118.80〜119.35のレンジとします。



配信日:2020年5月29日