デイリーレポート(2020年5月28日配信)

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WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

ドル円は東京市場では107円台半ばで小動きとなっていましたが、欧州市場に入りユーロが対円でも大幅上昇する動きに引っ張られてドル円も上昇、NY市場朝方には107.95レベルの高値をつけました。しかし108円台では相変わらずドル売りーオーダーが並んでいることもあり、引けにかけてはやや押す動きとなりました。

ユーロドルは東京市場ではやや上値の重たい動きとなっていましたが、欧州市場に入り欧州委員会が5000億ユーロの補助金を計画とのヘッドラインに反応し、ユーロドルは大幅高、一時1.1031レベルの高値をつけました。しかし、1.10台の売りを吸収しての上昇にも無理があり、その後は再び安値圏へと反落し、引けにかけては改めて買い戻しが見られる動きとなりました。

ドル円は昨日も書きましたが本邦企業の想定為替レート前後では着実に売りが出てくる印象です。ただ、昨日はNY市場で株価が大きく買われて引けていることもあって、押しもまた限定的な動きとなりました。本日は中国全人代で香港の治安を強化する国家安全法が採択される見通しで、その後の米国を中心とした動きも気になるところです。直近では株式市場も好材料のみに飛びつく状態となっていますが、原油も株価も3月6/9日の週末を境に大きく下げていった出発点という見方をすればNYダウもそろそろ上昇の勢いに陰りが出てくる可能性もあります。目先はカウンターでリスクオフ方向への動きに気をつけたいと考えていますので、ドル円もここより上の水準は売り場になってくるでしょう。本日は108.00レベルをレジスタンスに、107.50レベルをサポートとする流れを見ておきます。

ユーロドルは欧州委員会の復興基金案を好感してのユーロ買いが目立ちましたが、先のドイツとフランスによる同様に基金構想には4か国が反対をしていて、今回の基金案にも既に簡単にまとまることは無いという見方でいたほうがよいでしょう。欧州内でも統一された通貨とは異なり各国の事情がありますので、しばらくはどのように話が進むのかを見極める必要がありそうです。ただ、1.10台前半のユーロ売りオーダーは既に昨日消化していることから、近いところでの売りオーダーは目立たず、本日のところは1.10の大台を挟んでの動きとなりやすいでしょう。本日はユーロドルが1.0980〜1.1030、ユーロ円は118.50〜119.00のレンジとします。



配信日:2020年5月28日