デイリーレポート(2020年3月3日配信)

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WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

週明けのドル円は金曜引けの水準からギャップダウンして始まり、早朝市場で107.36レベルの安値をつけましたが、東京市場では金曜のパウエルFRB議長に続いて黒田日銀総裁も談話を発表したこともあり、株も為替もリスクオフの巻き返しが続きました。欧州市場序盤には108.58レベルまで回復していましたが、再び株価指数が売りに転じたことからNY前場には107.40へと下押し。NY市場では新型コロナウイルス対策としてIMF、世銀の共同声明、また緊急G7電話会議開催のニュースも加わりNYダウが史上最大の上げ幅を記録。ドル円も108.47レベルまで上昇し底堅い地合いで引けました。

いっぽうユーロドルは、早朝時点で先週の高値を上回り底堅い地合いとなっていたところに、東京市場ではドル円と同様に株価に沿って動くユーロ円の影響が強かったため一段高の動きとなりました。その後海外市場に移ってからは米金利が一段と下る中でユーロドルの買いが目立ち、またNY市場ではNYダウの大幅上昇によるユーロ円の一段高の動きから1.1185レベルの高値をつけやや押しての引けとなりました。

ドル円は、株式市場がG7による協調緩和を期待する動きによる反発の影響からリスクオフの巻き返しが出ているいっぽうで、米国債も同様に利下げ期待から更に長期金利の利回りが低下していることもあり、大きくはドル買いには動けない様子です。おそらく、G7電話会議では米国の利下げと協調し、英国など利下げに動ける国は協調利下げ、日本や欧州のように既にマイナス金利となっていて、更なる深堀りの悪影響も考えられる国では他の手段に動くというところでしょうか。ただ、米国の利下げは既に完全に織り込まれていることもあって、ここから別の悪材料が出てきたりすると為替市場ではドル売りとなりやすいでしょう。ただ米国にとっては低金利、株高、ドル安の組み合わせは望むところでもあり、ドル円の大きな反発はあまり期待しないほうがよいと考えています。本日は様子見となりやすいのですが、上がったところでは売りが出やすいと見て、108.55レベルをレジスタンスに107.55レベルをサポートと昨日のレンジ内での動きを見ておきます。

ユーロドルは、リスクオフの巻き返しによるユーロ円の買いと米国長期金利低下による金利差縮小によるユーロ買い(ドル売り)が重なって1.11台後半へと上伸しましたが、本日のG7電話会議でECBがどのように動いてくるのかを見極めたいところです。少なくとも昨日の段階でもラガルドECB総裁は金融政策の変更にまで踏み込むような発言はしていませんので、金利以外でQE拡大といったような動きになるのか、あるいはECBは動かないのか、それを見てからという面が大きいです。基本的にユーロは対円、対ドルともにもみあいを考え、本日はユーロドルが1.1100〜85、ユーロ円は120.00〜80のレンジとします。



配信日:2020年3月3日