デイリーレポート(2022年5月20日配信)

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WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

ドル円は東京市場では早朝に一時的な下げを見た後は日経平均株価が堅調だったこともあってじり高となり、昼過ぎには高値129.84レベルをつけました。しかし130円の大台超えにはドル売りオーダーが見られたことダウの夜間取引で売りが広がり前日安値を下回る動きとなったことに加え米金利も低下したことから下げに転じNY前場には127.02レベルの安値をつけました。引けにかけては短期筋の利食いも出て127円台後半へと戻しました。

ユーロドルは東京市場では小動きだったものの欧州市場に公開されたECB理事会の議事要旨において第3四半期にQEが終了し金利はしばらくは上昇しないとしたいっぽうで、緩和からの転換についてはそのペースで理事会メンバーの意見が分かれたことも示されていました。市場参加者は6月9日の次回理事会で7月利上げについても協議されるとの判断からユーロ買いで反応、NY後場には1.0607レベルまで上昇しそのまま高値圏での引けとなりました。

ドル円は昨日もリスクオフが円買いという従来型の動きとなり、127円直近の水準まで切り下げましたが、テクニカルに127円と125円が大きなサポートとなっていることもあり最初の127円トライは失敗した格好です。しかし米国株式市場は依然として上値が重く続落リスクが残っていることを考えると、本日は戻り売りが出やすくなりそうです。

ユーロドルはタカ派のECB関係者の見方が市場参加者のコンセンサスになりつつありますが、昨夜の議事要旨でも意見が分かれていることから、7月利上げを織り込んで6月の理事会で依然として利上げのタイミングが第3四半期遅くもしくは年内といった現状と変わらない内容となると崩れるリスクもあります。短期的にはユーロ買いが強まっているものの材料的には利上げ思惑以外にユーロを買う材料は無く、FOMCはさらに速いペースで利上げが進むことを考えると1.06台はいったん売りたい水準でもあります。

週末前で積極的な取引は手控えられそうですが、3主要通貨ペアともに戻り売りの流れを考えて、以下のレンジを見ておきます。
 ドル円  127.00〜128.00
 ユーロ  1.0525〜1.0625
 ユーロ円 134.00〜135.50



配信日:2022年5月20日