デイリーレポート(2022年5月6日配信)

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WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

4日FOMC以降の動きを振り返ります。FOMCでは0.5%の利上げと6月からのQT(量的引き締め)の実施を決定しました。QTは当初3ヶ月は475億ドル、それ以降は950億ドルとなりますが、950億ドルとして年1.14兆ドルですから、コロナショック以降で膨張したバランスシート4.73兆ドルを減らすだけでも4年以上かかる計算です。過去の歴史を振り返ってもそこまで減らす気は無いと考えたほうがよさそうです。

そしてFOMC後のパウエルFRB議長会見が、その後の荒れ相場をもたらしましたが、0.75%の利上げは積極的に検討していないとの発言で過度な引き締め観測が後退、株高とドル安の動きとなりドル円はFOMC直後の130.38レベルから128.62レベルへと急落しました。

東京が休場となった昨日は為替市場は1日かけて行って来いの動きを見せました。ドル円もユーロドルもFOMC以降はドルとしての動きで歩調を揃えていますが、ドル円はNY昼過ぎには130.56レベルまで買われFOMC直後の高値を上抜けました。いっぽうで米株は急落し一時1300ドルを超える下げ幅となりましたが、FF先物が年末時点で2.75%の政策金利を前提に取引されていることから0.75%の利上げは無くとも、現行水準よりはかなり利上げが進んでいると改めて考え直した動きというところです。

個人的には議長会見後の株高とドル安の方が戸惑いがありましたが、今後もこれまで同様に米国との金利差拡大を念頭に為替市場ではドルが底堅く、株式市場では引き締めと対ロシア制裁による2つの景気減速懸念が上値を抑えるという流れになってくるでしょう。

本日は米国雇用統計の発表もありますが、東京勢はGWの狭間ということもあってドル円は大きな動きは期待できそうもありません。ユートドルはECB関係者のタカ派、ハト派が分かれていることが昨日の発言でも繰り返されていますが、早くとも年後半という点は変わりなく、ウクライナ問題もあってユーロドルもまたドル高傾向が続きやすいと見て良いでしょう。

本日は特に予想レンジは示さないでおきます。



配信日:2022年5月6日