デイリーレポート(2022年3月23日配信)

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WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

円全面安の一日となりました。前日のパウエルFRB議長のタカ派発言をによる日米金利差拡大加速思惑を材料に早朝から120円台の大台乗せ。さらに黒田日銀総裁が先週の日銀会合に続いて予算委員会でも円安容認を繰り返したことから円売り一色となり欧州市場で121円台乗せと大台3つを見ることなりました。その後は調整も見られ120円台後半でもみあいのまま引けました。

ユーロドルは東京市場ではドル買いの動きから上値が重たい展開となり東京後場には1.0961レベルの安値をつけました、欧州市場に入ると円売りの動きがクロス円でも加速し、ユーロ円の買いとともにユーロドルも上昇、1.10台半ばへと買い戻された後は若干押して引けています。

ドル円はドル買い材料と円売り材料とで円安が加速する展開が続いています。このままいくと2015年高値の125円台後半まで調整らしい調整も無いままに円安が加速する可能性がありますが、既に年初から8円近い円安進行となり約7%の円安はそのまま輸入物価が7%上昇していることとなります。

実際には物の価格が大幅に上昇しているため、今後国内のインフレは海外並みに進行する可能性も出てきます。財務省は為替市場を注視とはいうものの日銀は意に介さず円安信奉を続けていますが、2015年に125円台を見た時には黒田総裁も円安に懸念を示し125円台は黒田ラインと呼ばれた水準でもあります。

今回は黒田総裁は円安容認のまま行きそうですが、日本経済のことを考えると既に悪い円安になっていて、通貨安というのは加速するとなかなか止めることができないため、企業も個人も円安防衛を考えるべき段階に来ていると思います。

なおユーロドルは現状ではユーロ円の買いが止まらないと、つまり円安が止まらないと底堅い流れは続かざるを得ないでしょう。個人的な見通しからは既にかなり外れる展開となっていますが、簡単には止まらない流れになってきていますので、本日は以下のレンジを見ておきます。
 ドル円  120.50〜121.50
 ユーロ  1.1000〜1.1050
 ユーロ円 133.20〜133.90



配信日:2022年3月23日