デイリーレポート(2021年11月4日配信)

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WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

ドル円は2日後場の豪ドル中銀会合の内容は想定内だったものの市場参加者は豪ドル売りで反応し、豪ドル円の売りがドル円での売りにもつながりました。欧州市場では113.46レベルまで下げたものの下げきれず、NYの引けにかけては114円目前まで水準を切り上げて引けました。

3日のドル円は東京市場が休場でFOMCを控えていることからNY市場までは113円台後半の狭い値幅でのもみあいが続きました。NY市場ではテーパリング決定は織り込み済み、強めの経済指標を受けてドルがやや買われてのFOMC待ちとなりました。

FOMCでは予想通りテーパリングを決定し今月から始まることが示されました。毎月150億ドル(米国債100億ドル、担保証券50億ドル)の縮小となり、2022年6月まで変化がなければ8か月でテーパリングが終了となります。いっぽうでインフレについては今まで同様に一時的とし、利上げのタイミングでは無いとこれまでのハト派的スタンスを維持したことで、株式市場は上昇、為替市場は若干ドル安で反応し、114円近辺での引けとなりました。

ユーロドルは2日は1.1600前後、3日NY市場までは1.1580前後と、その間のレンジは50pipsに留まり、狭いレンジでの取引に終始していました。FOMCでは議長会見を受けたドル売りから1.1616レベルまで上昇したものの、本日は英中銀MPCも控えていることから動きは鈍いままです。

ドル円はイベント通過で金利市場はFOMCの結果とは関係なく引き続き金利先高感が強いままでいます。10年債利回りは1.6%台に乗せていますし、FF先物も2022年9月時点で1回の利上げを織り込んでいる状況です。米金利の底堅さとダウ上昇による日経先物上昇を受け、ドル円もドルがじり高となりやすいでしょう。

ユーロドルは英中銀のMPC結果を見たいため、ユーロドルとしての動きは限定的、ユーロ円はドル円の底堅さでじり高という動きになりそうです。

MPCでは現状維持と利上げとで意見が分かれていますが、前回会合では利上げを支持した委員がゼロだったところから、いきなり過半数にまで行くのかという点で個人的には現状維持の可能性の方が高いように思えます。その場合は、株式市場は上昇、ポンドは売られ、ユーロも連れ安という動きを予想しています。

全体としてドルが底堅い流れとなりそうですから、本日は以下のレンジを見ておきます。
 ドル円  113.90〜114.40
 ユーロ  1.1565〜1.1615
 ユーロ円 132.15〜132.60



配信日:2021年11月4日