デイリーレポート(2021年9月28日配信)

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WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

週明けのドル円は111.00レベルにドル売りオーダーが入っていることや、先週後半の短期筋ドル買いの利食いも出てドル売りが先行しました。東京昼過ぎには110.54レベルの安値をつけたものの押し目買いも根強く、また欧州市場に入りユーロドルが下げる動きとともにドル円にも改めて買いが入り111.07レベルまで上昇、NY市場では111円を挟んで底堅い推移のままで引けました。

ユーロドルは東京市場では動きが見られませんでしたが、欧州市場序盤以降急速に売りが広がりました。これは前日のドイツ総選挙でSPDが16年ぶりに第1党となったものの735議席中206議席に過ぎず、大敗して第2党となったCDUも196議席とわずかな違いであることから、どちらも連立政権を組むことができる状況です。キーとなるのは第3党の緑の党と第4党のFDPですが、これらの党の政策が全く異なるため、連立は難航し年内の組閣は困難と言われます。このドイツにおける政治の空白期間長期化がユーロ売りの材料となりました。ユーロドルは1.1684レベルの安値をつけ、その後買い戻しはでたものの上円が重たい地合いで引けました。

週明けの為替市場は米金利が引き続き上昇していることによるドル買い要因に、ドイツ総選挙を受けてのユーロ売り要因も加わり、ユーロドルは先週安値に並ぶ水準へと下げ、ドル円も111円台に上昇することとなりました。ドル円は111円にはドル売りがいた様子でしたが、結局売りをこなして111円台に乗せてきたことで年初来高値の111.66レベルを視野に入れる展開になってきたと考えられます。ユーロドルもドイツの連立進展具合が長期的にユーロにとっての悪材料となる可能性もあり、今日にも3度めのトライで1.1684を下抜けてくると一気に年初来安値の1.1664レベルをトライする流れになるのではと見ています。

本日は基本的にドル買いの流れを継続しやすいと見て、以下のレンジを見ておきます。

 ドル円  110.85〜111.35
 ユーロ  1.1650〜1.1700
 ユーロ円 129.65〜130.05



配信日:2021年9月28日