デイリーレポート(2019年8月1日配信)

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WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

ドル円はFOMCを控えて108円台半ばで全く動きの無い展開が続きました。FOMCでは予想通り0.25%の利下げとなりましたが、全体としては市場予想よりもタカ派な印象を与えた声明となっていました。決定にあたり2人のメンバーが利下げに反対したこと、今回の利下げは緩和局面のスタートではなく成長を持続させるための調整であることにも触れ、次回以降も利下げを期待していた市場参加者とは距離を置いた印象です。唯一バランスシートの縮小停止を前倒しで決定した点は若干緩和的と取れます。

これらの決定を受け、株式市場は大幅安、為替市場は金利差縮小は1回限りで終わる可能性からドル買いで反応、特にユーロドルはNY市場に入り実需のユーロ売りが出て上値の重たかった状況であったことから、一気に1.10台半ばへと年初来安値を切り下げ、ドル円も同様に109.00をつける動きとなりました。引けにかけてはやや調整も入っての引けとなりましたが、東京早朝は再びドル買いの動きが強まり、ドル円はしっかりと109円台乗せ、ユーロドルも1.10台前半へと水準を下げています。

注目のFOMCでは、市場参加者の緩和寄りの思惑に修正をかけるような利下げと声明となりました。ただ、声明自体には景気拡大のための適切な行動との表現はありますし、パウエル議長も1回限りとは言っていないと補足していますので、今回の利下げ効果を見つつも今後の物価関連を中心とした経済指標次第では年内の追加緩和が否定されたわけではありません。ただ、昨日の結果を受け年内の追加利下げ織り込みは急速に低下、次の利下げを織り込む(利下げ織り込みが50%を超える)時期は来年3月へと急速に後退することとなりました。

さて、本日ですが、おそらくドル買いが先行しいったんは短期筋のストップをつける流れとなっていますが、買い戻しが一巡した後は改めて新規のドル売りが出やすいと考えられます。ただ、テクニカルにはドル円が底打ちパターンともなってきたため、下値もまた限定的と思われます。本日の予想レンジとして、ドル円=108.80〜109.35、ユーロドル=1.1025〜85、ユーロ円=120.35〜85を見ておきます。

レポート全文はこちら http://www.ascendant.jp/gain/daily/Daily.pdf



配信日:2019年8月1日