デイリーレポート(2023年12月21日配信)

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WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

本日は朝の放送で話す内容に代えさせていただきます。

注目通貨ペア 「ドル円の売り」

*ファンダメンタル
 主要国の一連の金融政策決定会合も終わり、来年に向けての大枠も決まってきました。

(1)FRB
・ターミナルレート到達。2024年に3回の利下げ見通し。事前予想通り。
・市場参加者は3月から6回の利下げを織り込んでいる。
(2)ECB
・ターミナルレート到達。利下げは議論せずインフレ懸念残る。事前予想よりタカ派的。
・景気を考えると早ければ3月から利下げの可能性が高い。
(3)日銀
・大規模緩和維持。チャレンジング発言は一般的用語と出口戦略との関係を否定。事前の観測記事通りも一部には政策変更思惑もあった。
・インフレ率、賃上げ等考えると早ければ3月にもYCC撤廃とマイナス金利解除との思惑。

こうしたことを踏まえると3月以降の日米金利差縮小、日欧金利差縮小を背景にこれまでの円キャリーの縮小が今後も継続すると考えられ、ドル円、クロス円とも戻り売りに動く流れが出てきます。

*ポジション
 シカゴの通貨先物のポジションはここまでの円高の動きで円売りポジションは大きく減少しました。11月14日時点では13万枚を超える円売りポジション(2017年以来)でしたが、12月12日時点では81000枚程度と8月以来の水準です。だいぶ調整は入ったものの、現時点ではまだ絶対的な金利差を背景に円買いに動くことはありませんので、来年3月に向けては今後一段と円売りポジションが減少していく流れにあると考えられます。

*テクニカル
 ドル円は昨年と今年の151.94と141.91とで長期的にダブルトップをつけた可能性が出てきました。まだ上昇N波動を継続中と見ることも可能ですが、今後の金利差縮小を背景にこれまでのような押し目買いは出にくくなっていきます。個人的には年初来安値と高値の半値押しとなる139円台半ばを年内は無理でも年明け早々につけに行く可能性が高いと考えています。

*結論
 明日から欧米はクリスマスモード、来週半ばから日本は年末年始モードと積極的な取引は手控えられる時期となってきました。この時期は参加者が減少することが動かないか、流動性低下で荒れるかですが、今月はここまで動きが大きかったことで市場参加者も警戒感は高まっていると考えられます。

ただ、水星逆行中(12月14日〜1月2日)はボラティリティの上昇が見られますので、注意しておくにことしたことはありません。フラッシュクラッシュは無くとも大きめの値動きは常に起こりうるということになるでしょう。

当面は145円を天井に140円の大台トライをしやすい流れと考えています。



配信日:2023年12月21日