デイリーレポート(2023年12月20日配信)

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WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

週明けのドル円は先週木曜以降の底固めの動きを継続、欧州市場序盤に金曜高値を上抜けると仕掛けの買いも加わって一段高。本日の日銀会合を前にドル売りポジションの調整も入り143.16レベルまで上げましたが、143円台では売りも出て142円台後半での引けとなりました。

ユーロドルは終日のレンジが39pipsと動意薄、ユーロ円はドル円とともに買い戻しが入ったことで156.31レベルまで買い戻された後に155円台後半へと押しました。

一連の金融政策イベントでは主要国最後が本日の道銀会合ですが、事前に12月会合では変更が無いとの観測記事はあったものの、一部には警戒感もあります。植田総裁がチャレンジングと発言して以降、12月にYCCの撤廃など何らかの政策変更があるのでは無いかという見方もあります。

個人的には年明け以降、おそらくは3月か4月から引き締めへの転換を行う可能性が高いと思いますが、YCCの撤廃を今回決めたとしても実勢水準から考えると特に問題があるとは思えず、可能性はあるかなというところです。ただ、変更の有無に関わらず、イベント通過で改めてドルの戻り売りが出やすい地合いに戻ることは確かでしょう。ドル円は日銀会合で政策に変更は無く大規模緩和継続の発表を受け円安に振れ、その後の植田日銀総裁会見でも出口戦略につながる発言は皆無であったことから、海外市場に移ってから円安が進み欧州市場昼頃には144.95レベルの高値をつけました。145円台では売りも並んでいたこと、日計りの利食いが出たことに重なり、米国の早期緩和思惑もあって143円台半ばまで押した後、後半に戻して引けました。

ユーロドルは買いが目立つ一日となりました。ドル円とともにユーロ円が上昇した動き、米国の早期緩和思惑と材料が変化しながらも1.0987レベルまで上昇し、高値圏での引けとなりました。

主要三極の金融政策会合が終わり、米国は早期緩和思惑が広がり、2024年中FRBの3回利下げ見通しに対して、市場参加者は6回の利下げを見込む状況です。ECBは思った以上にタカ派ではあったものの、今後の状況次第ではやはり3月に緩和に転じる可能性は高いと見ています。

いっぽうで日銀は緩和維持とは言っているものの、CPIや今後の賃上げの状況から考えると2024年の3月に政策を転換する可能性があり、そうなると金利差縮小思惑を先取りして、今後もドルの戻り売りが出やすい地合いは続くというのが年末年始に向けての見通しというところです。



配信日:2023年12月20日