デイリーレポート(2023年9月11日配信)

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WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

ドル円は朝方に財務相発言に警戒した売りと日経平均が大きく下げたことによるリスクオフの動きから一時146.58レベルの安値をつけました。しかし、押し目買いも根強く買い戻しが入る動きに米金利上昇も重なり欧州市場ではじり高、NY市場では米金利が下げた後に上昇と荒っぽい動きをしましたが、ドル円は金利上昇にのみ反応し前日高値147.87レベルに並び、そのまま高値引けとなりました。

ユーロドルはドル買いの動きによるユーロ売りとドル円とともにユーロ円でも買いが入る動きが相殺し方向感がはっきりしない展開が続きました。NY前場に米金利が下げた動きにはユーロドルはドル売りで反応し一時1.0744レベルの高値をつけましたがすぐに下げ、安値圏での引けとなりました。

週末に植田日銀総裁が物価上昇に確信が持てればマイナス金利の解除がありうること、年末までにそのデータが揃う可能性があることに言及し、週明け早朝の為替市場は大きくギャップダウンして始まり、一時146.65レベルの安値をつけました。その後、147.27レベルまで買い戻されたものの147円台では戻り売りも出てきて改めて146円台後半へ押しています。

金曜東京朝方の安値が146.58レベルでしたから、同水準を下抜けると一段のドル売りが出てドル円、クロス円での調整が強まる動きにつながりそうです。今朝は綱引きでいったん買い手が強かったのですが、買った向きが売りに転じた様子なので、今日のところは戻り売りが強まる可能性が高そうです。

7月日銀会合でのイールドカーブ・コントロールの調整に続き、来年前半を目処にマイナス金利の解除が視野に入り、一方的な金利差拡大の見通しの修正と9月末に向けてのポジション調整など、引き続き注意すべき流れが続くことを感じさせる総裁発言となりました。



配信日:2023年9月11日