デイリーレポート(2023年8月28日配信)

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WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

ドル円はジャクソンホールにおけるパウエルFRB議長講演を前に146円前後の狭い値幅でのもみあいが続きました。議長講演では追加利上げは慎重に判断するものの必要な場合には実施すると、FOMC議事録同様にタカ派な内容となりました。講演直前のミシガン大消費者信頼感が弱く米金利低下、ドル安の動きから講演直後には米金利上昇、ドル高となり一時146.63レベルと年初来高値を更新、若干の押しは入ったものの底堅い地合いのまま週末を迎えました。

ユーロドルは前日の流れを継続し東京市場ではユーロ売り、欧州市場序盤に1.0766レベルの安値をつけました。その後、NY市場までイベント前の買い戻しを挟み、講演前後の動きはドル円同様にユーロ買い後のユーロ売りとなりましたが、ユーロ円の買いも見られたことでユーロドルはNY寄り付き水準での引けとなりました。

注目のジャクソンホールでパウエル議長はタカ派よりな発言を行いましたが、前回のFOMCを議事録に沿った内容であったことからサプライズとはならず、素直にやや金利上昇とドル高をもたらしました。株式市場は直後こそ下げで反応したものの、利上げはあってもあと1回で終わりに近いとの楽観的な見方から、引けにかけては買い戻される動きとなりました。

こうなると、イベント通貨で為替市場ではこれまでの材料、つまり絶対的な日米金利差によるドル買いの動きと、介入警戒感から年初来高値を更新する場面では神経質な展開になるという見方でよいでしょう。ユーロドルも基本はドル買い(ユーロ売り)ですが、ユーロ円の買いもあるため、ペースは鈍くなるという点も変化は無さそうです。

今週は月末月初、そして米国雇用統計と動きやすい材料は多く、ドル高地合いをベースにしつつも積極的には仕掛けにくいというところでしょうか。



配信日:2023年8月28日