デイリーレポート(2019年9月17日配信)

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WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

週末のサウジアラビアの産油施設がイエメンのテロ組織の攻撃を受け、サウジアラビアの原油産出量の半分が停止、世界の5%にあたるとの衝撃のニュースに週明けの市場は一斉にリスクオフに動きました。ドル円は107.46レベルをつけ、株価指数先物は軒並み大幅安、NY原油先物は週末の54ドル台後半から一気に63ドル台前半へと暴騰と、東京市場が休場となる中で大荒れのスタートを切りました。

ドル円は朝方こそ上値の重たい展開となっていましたが、その後は落ち着きを取り戻し徐々に買いが出てくる展開。その後、既に下げ始めていたポンドが欧州市場に入り一段安となりポンド売りが主導する形でドル買いの動きへと流れが変わりました。NY市場に入るとドル円は108円台を回復し週末のギャップを埋め、日計り組のストップも巻き込みながら108.17レベルの高値をつけ高値圏での引けとなりました。

いっぽうユーロドルは、週明け早朝はわずかにドル安気味のスタートを切ったもののユーロの上値は重く、先週後半の買いに対する調整が目立ちました。その後もポンドの売りに引っ張られてユーロは水準を切り下げ、金曜安値を下抜けると一段安、NY市場ではストップも巻き込んで1.10の大台割れ、引けにかけてはもみ合いの中、かろうじて大台を回復して引けています。

ドル円は、これまでも何度か見てきたパターンですが週末のリスクオフでギャップダウンして始まり、その後はギャップを埋めて下げる前の水準に戻すという展開です。ただ、サウジアラビアの分は他国の増産と備蓄取り崩しで乗り切れるというものの、タンカー攻撃だけでなく地上の攻撃にも広がり中東におけるリスク上昇が今後も警戒感を高めざるを得ない状況と言えます。FOMCもありますので、108円台を積極的に買っていく流れとも思えません。本日は戻り売りのスタンスで108.25レベルをレジスタンスに、107.80レベルをサポートとする流れを見ておきます。

ユーロドルはECB理事会後の材料出尽くしの買いが一巡すると、改めて欧州の悪材料に目が行きやすい流れになっているようです。また昨日はジョンソン首相とユンケル委員長との会談がありましたが、離脱延期は求めず10月末の離脱に向け今後も協議を継続するというものでした。ポンドは朝方から売りが先行していましたが、10月のEUサミットまでに代替案が出てくるかどうかに全てがかかっている状況です。現時点ではポンドに関してはリスクが高いということ以上はコメントしにくい流れです。ユーロドルもそうした点では上げた後の下げで、どちらにも動きうるものの方向感を失い気味です。本日はもみあいを考えて、ユーロドルが1.0980〜1.1030、ユーロ円は118.60〜119.20と若干上値の重たいもみあいとします。

レポート全文は http://www.ascendant.jp/gain/daily/Daily.pdf

週足チャートは http://www.ascendant.jp/gain/daily/Weekly.pdf



配信日:2019年9月17日