デイリーレポート(2021年10月25日配信)

著者画像
WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

金曜レポートはお休みしましたので、木曜と金曜の動きを振り返っておきます。

木曜のドル円は前日に114.70レベルと年初来高値を更新したものの2017年11月高値114.74レベルは抜けられず、その後は利食いに押され気味でしたが、木曜も東京前場高値でNY安値と終日円高の流れとなりました。材料としては日経平均株価が大きく下げたことでリスクオフの塩円買いとなっていました。
いっぽうユーロドルはドル円ととものユーロ円も下げた動きに引っ張られて東京昼過ぎの1.1667レベルを高値にその後はNY引けまでユーロ円とともにじり安の展開をたどりました。

金曜のドル円も東京高値でNY安値と水曜以降のパターンを繰り返しましたが、短期的に114.70レベルで高値を見たという見方が広がり、早朝に1.7%をつけた米金利(10年債利回り)も下げに転じたことから前日の円高とは違い全般的なドル売りの流れとなりました。NY市場でパウエルFRB議長がインフレ圧力を懸念しつつも早期利上げに否定的な発言をしたこともドル売りの流れを強め、引け間際に113.41レベルまで水準を下げての週末クローズとなりました。
ユーロドルも金曜はドル安の流れからNY前場までは買い戻しの動きからじり高の流れとなっていました。しかしNY昼前にユーロ円が前日安値を下回るとストップオーダーも巻き込んで131.92レベルまで下げる動きとともにユーロドルも東京市場の安値圏に沈んだ後、引けにかけてはやや買い戻されました。

ドル円は長期的にはいまだドル高・円安の流れは続いているものの、短期的には114.70レベルを高値に尾調整局面入りとなっています。9月22日安値の109.12レベルから、FOMCをきっかけにドル高に転じ調整らしい調整が無いまま5円58銭も上がってきたことを考えると、38.2%押しの112.57はターゲットとなりますすし、少なくとも113円前後までの調整が入ってもおかしくはないでしょう。

ユーロドルはドル円とともにユーロ円が下げる動きと、ドル安の流れによるユーロ買いの動きとがぶつかり、先週火曜以降は横方向のもみあいが続いています。新たな材料としては北アイルランドとアイルランドとの国境に関して物流面での問題が山積していることを中心に英国側がブレグジット合意の破棄を検討とのニュースが出てきました。EU側が英国に対して譲歩する姿勢を示した後の強気反応という点からいつもの更なる譲歩引き出し作戦とも取れますが、ポンド安だけでなくユーロ安の材料にもなってくる懸念があります。

今週も週初は3主要通貨ペアともに上値が重たいスタートを考え、以下のレンジを見ておきます。
 ドル円  113.30〜114.75
 ユーロ  1.1615〜1.1655
 ユーロ円 131.85〜132.40



配信日:2021年10月25日