デイリーレポート(2019年8月5日配信)

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WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

金曜のドル円は、前日の対中制裁関税発表以降のリスクオフの流れを継続し、中国側も対抗措置との発言が出てジリジリと水準を切り下げる展開が続きました。NY市場に入りトランプ大統領が延期や中止の可能性に言及し、一時買い戻しが入りましたが。NEC委員長は同発言について何も聞いていないと述べたことで反落。改めて円買いの動きから106.51レベルまで水準を切り下げ、安値圏での引けとなりました。雇用統計はミックスした内容だったこともあって目立った動きには繋がりませんでした。

いっぽうユーロドルは、ドル円でのドル売りの動きに沿ってじり高の単回が続きました。NY五話に対EUの通商協議についての発表があるとのニュースも積極的なユーロの取引を手控えさせることとなりました。対EUに関しては米国産牛肉購入の合意が発表された一方で、自動車関税は検討対象から外さないと述べ、こちらも好悪ミックスと捉えられて目立った動きには繋がりませんでした。ユーロ円の売りが前日に続いて目立ったこともあって、ユーロドルとしての上げ幅は限定的なものとなっていました。

ドル円は、対中制裁関税第4弾が発動されるのか回避されるのかは9月になってみないとわからないというのが市場参加者の見方と言えます。これまでも何度も合意に近い、いや決裂だと繰り返してきましたので、現段階では制裁関税の可能性があり、発動されたら世界経済に悪影響という悪材料の麺を少しずつ織り込んできているといったところでしょうか。ただ、現実的にはギリギリのところで回避される可能性が高いように思えます。米国の景気悪化や価格上昇となると、来年の選挙に悪影響を与えるでしょうから、そのあたりを考えながらの発言のように思えてなりません。ただ、そうは言ってもリスクがある以上、リスクオフ方向にバイアスがかかりやすく、今週もドル円は上値の重たい展開になりそうです。本日は106.75レベルをれじすたんすに106.00レベルをサポートとする流れを見ておきます。

ユーロドルは米国とEU間の通商協議の進展状況の発表に過ぎなかったという捉えられ方でした。牛肉の合意は米国の畜産農家の票にはつながりそうですが、まだまだ自動車をはじめ大きなテーマは何ら解決の糸口は見えていません。また現状ではユーロは対ドル要因でのユーロ買い(ドル売り)の動きが、ユーロ円での円買いの動きで抑えられていますので、引き続き、円>ユーロ>ドルという通貨の強弱関係は続いていくと考えられます。本日は、ユーロドルが1.1100〜50、ユーロ円は117.90〜118.55とします。

レポート全文はこちら http://www.ascendant.jp/gain/daily/Daily.pdf



配信日:2019年8月5日