デイリーレポート(2020年4月17日配信)

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WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

ドル円は東京の朝方からドル買いが先行し昼過ぎには108.08レベルの高値をつけました。機関投資家から大口の買いが出たという見方がされていたようです。しかし、後場以降は行って来いの動きとなり、海外市場に移ってからは株価の上値も重たくなったことからNY前場には107.17レベルへと下押し。引けにかけてはダウが反発したこともあり107円台後半へと買い戻されて引けました。

いっぽうユーロドルは、若干の上下は挟みながらも終日上値の重たい展開が続きました。海外市場に移ってからの株安の流れでは、ドル円だけでなくユーロ円でも売りが目立ちユーロドルも下げることとなりましたが、NY市場では実需のユーロ売りと前日安値を下回ってからのストップオーダーもユーロ売りを加速させました。一時1.0817レベルの高値をつけましたが、引けにかけては株高、ユーロ円買い戻しの動きとともに1.08台半ばへと戻して引けました。

昨日もリスクオン、リスクオフに絡んでドル資金がといった話は聞こえてきましたが、少なくとも東京後場以降は株安では円買い、株高では円売りと従来型のリスクオフとリスクオンの動きになっていたと考えられます。個人的には資金市場でのドル逼迫はほぼ解消していると見ていて、従来型の動きで説明がつかないときは無理に資金の話を引っ張り出さずとも、実需など別の需給要因が作用していると見たほうが難しくなりません。

また東京前場のドル買いも本当に機関投資家の買いだったのかは本人とそれを受けた銀行にしかわからないことですし、しかもその後の行って来いの動きを見る限り噂に乗っかって買った人が売り直しただけと見ることもできそうです。現時点での世界経済の状況を見ると積極的に海外に投資する動きが出てくるとも思えず、このあたりも注意して判断する必要があるでしょう。

特にニュースとして文字になった場合、その記事を書いている人に誰が説明したのかということになりますが、インターバンクとはいえ他から聞いた噂だと、といった程度の情報であることも多々あるものです。事実としてのニュース、(経済指標などの)数字といったもの以外は取り扱い注意でいたほうがよいという認識は持っておくべきです。

本日は株式市場はNY引けに向かっての上昇地合いが加速してのスタートを切りましたが、為替市場は今のところドルの上値が重くなりと、各市場で異なった動きをしています。週末ということもあり昨日のレンジを大きく抜けることも無いと思いますが、上述したことについてはよく考えながら市場の動きを判断したいところです。

本日は以下のレンジを考えておきます。
 ドル円   107.40〜108.10
 ユーロドル 1.0825〜1.0900
 ユーロ円  116.65〜117.45



配信日:2020年4月17日