デイリーレポート(2020年3月13日配信)

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WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

ドル円はトランプ大統領による演説を受け株式市場で売りが先行する中でリスクオフの円買いが目立ち、前日安値を下回るとストップオーダーも巻き込みながら昼前には103.14レベルの安値をつけました。その後は下値を固める動きとなりましたが、NY市場に入り株式市場が上値の重たい流れが続く中でドル買いの動きになりましたが、これはECB理事会後のユーロの下げに引っ張られてのドル買いと言えます。一時106.10レベルまでドルが買われる動きとなりましたが、引けにかけてはユーロが戻す動きとともに104円台半ばに押すといった状態で荒っぽい値動きでした。

いっぽうユーロドルは、欧州市場まではドル円同様の動きを示し、ユーロ買い(ドル売り)の後にユーロ売り(ドル買い)。ECB理事会を控えて欧州市場は振れやすい神経質な展開となっていましたが、ECB理事会ではQEを年末まで1200億ユーロ拡大するとしたものの金利は現状維持としました。この金利は現状維持に反応したことから欧州の国債と株式市場は大きく売られる展開となり、為替市場ではユーロが売られる展開となりました。一時1.1055レベルの安値を付けた後はNYの引けにかけて1.12台を回復し、やや押して引けています。

金融市場は混乱が収まりませんが、こうした中で仮想通貨市場も暴落となり、ビットコインは前日の水準から4割以上も下げるという、週初の原油市場をも上回る暴落となりました。明らかに全てのリスク資産から資金が逃避する状況となっていますが、ドル建て金価格も水準を下げる段階に入ってきている状況で、キャッシュで持つなら米ドルが最良の選択となる可能性が高いという段階となっている可能性があります。そうなると、株安のリスクオフが円高というこれまでの動きにも変化が生じてくる可能性があり、日銀保有のETF含み損大幅拡大とともに、円安という流れにも警戒が必要です。

また各市場のボラティリティが大幅に上昇していて、ドル円は昨日だけで3円を超える変動となっています。むやみな値動きの予測を立てることのほうが危険な状況とも思えますので、以下にだいたいの目安となる中心レンジを出してはおきますが、何が起きてもおかしくないという状況であるということは考えておいたほうがよいですし、週末越えのポジションはよほどの理由が無い限り短期筋は持たないほうがよいです。

 目安としての中心レンジ
 ドル円  104.00〜106.00
 ユーロ  1.1100〜1.1250
 ユーロ円 116.50〜118.00



配信日:2020年3月13日