デイリーレポート(2020年6月11日配信)

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WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

ドル円はFOMCでイールドカーブ・コントロールが議論されるとの思惑が続き、欧州市場で107.16レベルの安値をつけた後もFOMCまでドル安地合いを続けました。FOMCではイールドカーブ・コントロールに触れなかったことで107.46レベルまで買い戻しも出たものの金利見通しでは2022年まで現状の実質ゼロ金利を続ける見通しとなっていたことから再びドル売りの動きとなり、106.99レベルの安値をつけ、そのまま安値圏での引けとなりました。

ユーロドルもFOMCを前にドル安・ユーロ高の流れが続き先週金曜高値をわずかに上回る1.1389レベルをつけたところで利食いの売りも出て東京昼ころの水準に押してのFOMC待ちとなりました。FOMC後はドル買い・ユーロ売りの動きで一時1.1321レベルまで水準を下げましたが、すぐに買い戻され1.1423レベルと100pips以上の急反騰を見せ、その後はFOMC後のレンジの半ばで引けています。

FOMC後のパウエルFRB議長会見ではイールドカーブ・コントロールについて、まだFRBとしては答えが出ていないため協議を続けるとの発言が見られ、今後の追加作としての余地を残しているように見せながらも慎重な姿勢を示したと言えます。また米国の景気見通しも4〜6月期が最大の落ち込みを想定し、失業率は底を打った可能性があるとしながらも実際よりも少なく出ている可能性についても言及し、年内は依然として厳しい状況が続くとしました。

パウエル議長の発言は、冷静に実体経済を見ていると思いますし、それに比べると足元の金融市場は過度に楽観に傾いていたと思います。しばらくは今週に入ってからのリスクオンの調整による株安とドル安の流れが続きやすいと言えるでしょう。本日のところはイベント経過後でもみあいになりやすそうですから、以下のレンジとします。
 ドル円  106.70〜107.30
 ユーロ  1.1360〜1.1420
 ユーロ円 121.50〜122.10



配信日:2020年6月11日