デイリーレポート

東京前場は静かな展開でしたが後場に入りユーロが前日高値を抜けるとユーロ円、ドル円と波及しドル円も欧州市場序盤には109.43レベルまで水準を切り上げました。その後米国雇用統計を前にNY市場まではポジション調整の押しが見られましたが、米国雇用統計の結果は予想よりも大幅に改善して失業率が13.3%(予想19.8%)、NFPは+250.9万(予想−800万)となり、リスクオンの動きから株高、円安となり109.85レベルの高値をつけた後やや押しての引けとなりました。

いっぽうユーロドルは、東京後場に特に材料が無い中で前日高値を抜けたことからテクニカルな買いがユーロを対ドル、対円で上昇させる動きとなりました。しかし、前日ECB理事会後の買いに加えイベント前にやや買いが先行しすぎたこともあったのか、その後はポジション調整とEU・英国の協議に前進が見られなかったことから東京朝方の水準を下回ってのNY市場入り。NY市場ではドル買いの動きからユーロは一段安となり、安値1.1279レベルとほぼ前日ECB理事会前の水準へと押し安値圏での引けとなりました。

ドル円は109円台後半と110円の大台を視野に入れた展開となってきましたが、それよりも驚きなのは米国株式市場のあまりにも楽観的なリスクオンの流れです。ナスダックはハイテク株が中心とはいえ2月の史上最高値を更新してきました。米国雇用統計の数字が予想よりも強かったとはいえいまだに失業率は13%台とリーマンショック後の10%を大きく上回った状態ですし、前回の史上最高値をつけたコロナショック前の世の中と比較して、企業業績は一部の企業を除いて悪化し、消費の落ち込みも簡単に回復する状況ではありません。

ナスダックはPERはかなり割高になってきている中、先行きに対する楽観だけでここまで買うというのは理解を超えてきました。それでも、この流れがまだ続くのであればリスクオンで円安相場も続くと考えざるを得ず、どう判断すべきなのか悩ましいところです。ナスダックの高値更新が達成感となるのか、それともこの流れがまだ続くのか、それ次第という面はありますが、為替市場の場合、ドル円ではドルと円という2つの通貨の組み合わせであることから、株式市場ほど一方向に動くことも無いと思いますし110円の大台はいったんは売りが出やすい水準となるでしょう。本日は109.80レベルをレジスタンスに109.30レベルをサポートとする流れを見ておきます。

ユーロは木曜のECB理事会で緊急プログラムの拡大が予想以上であったことと期間の延長も行われたことで大きく買われることとなりましたが、金曜は雇用統計をきっかけにドル買いとなったことから、ECB理事会直前近くにまで押してきています。ここまでユーロ高が続いてきたため、ブレグジット移行期間後の協議進展も見られなかったことも重なっていったん利食いが広がった動きと言えます。EUと英国との協議もこれまでと同じ展開で英国がギリギリまで強硬な姿勢を続けてEUから妥協案を引っ張り出すという作戦かもしれませんが、果たしてそれでうまくいくのかは疑問です。

最悪の結果として協議がまとまらないままに離脱強行となると欧州混乱は避けられません。まずは6月末までの移行期間延期があるのかないのか、延期しないとなると残り半年の間に協議がまとまるのかどうか、今後半に向けてユーロもポンドもドルと比較して弱いという見方が広がってくると長期的に改めて欧州通貨安の流れに回帰する可能性は高いということになってくるでしょう。本日は金曜の上値の重たい流れを継続しやすいと見て、ユーロドルが1.1260〜1.1320、ユーロ円は123.50〜124.10のレンジとします。


配信日:2020年6月8日