デイリーレポート(2020年6月5日配信)

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WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

ドル円は東京前場は株価の上値が重たかったことから高値圏でのもみあいとなっていたものの、後場に入り再び円安の動きとなって109.15レベルまで上昇。欧州市場からNY朝方まではユーロ大幅高の動きから一時108.61レベルの安値をつけましたが、ユーロ高の動きがユーロ円にも波及しドル円は引け間際に109.19レベルと日中高値を更新しそのまま高値圏での引けとなりました。

ユーロドルは東京市場から欧州市場朝方まではじり安の展開となり、ECB理事会の直前には1.1194レベルの安値をつけていました。しかしECB理事会において緊急プログラムを6000億ユーロへと増額し、期間も2021年6月へと延長するとの発表にユーロは上昇し1.1273レベルの高値をつけました。その後ユーロは対ドル、対円で一段高となりNY昼前には1.1362レベル、ユーロ円も後場に123.96レベルの高値をつけ、それぞれ高値圏での引けとなりました。

ドル円は高値圏でのもみあいが続いていましたが、ユーロ円が昨年5月以来の高値へと上昇したことから109円台乗せの動きとなりました。すっかりユーロ円主導となっていますが、今夜は米国雇用統計の発表もあり、地合い的には多少悪い数字でも予想よりも良ければ思いの外悪くないといった動きになる可能性があります。ただ株式市場に至っては明らかにコロナ前に比べ実体経済は大きく後退しているにもかかわらずナスダックは史上最高値を伺う勢いです。どうも理解に苦しむ流れですが、当面はあまり考えずに流れについていくほか無いというところです。

ユーロも緊急プログラムの増額と延長を好感していますが、逆にそれだけ悪いということですし、ドイツではルフトハンザがDAXから脱落するといったことも起きています。自動車産業も生産は落ち込んだままですし販売不振は深刻ですから、本当にそこまで好材料と捉えてよいのかとなると甚だ疑問としか言えません。

今日も米国雇用統計まではもみあい、その後はよほど悪い数字でも無ければ反応薄ということになるのでしょうが、週末を前にして利食いによるポジション調整には注意したいところです。イベントもありますので特に予想レンジは示さないでおきます。



配信日:2020年6月5日