デイリーレポート(2020年6月1日配信)

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WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

ドル円は東京前場に円高が進む動きとなりました。仲値で実需のドル売りが出たこと、その際に前日安値を下回ったことで、ストップオーダーも散見されました。東京後場には、トランプ大統領の会見を控えていることに加え、ミネアアポリスの暴動を嫌気したドル売りが広がり、107.08レベルと週間安値を更新しました。その後NY市場までは安値圏でのもみあいが続きましたが、大統領会見を前に日計り組の買い戻しとロンドンフィキシングで実需のドル買いが出て日中高値を更新。大統領の会見は香港に対する優遇撤回程度で比較的軽い内容であったことから、引けにかけては107.90レベルまで買い戻され高値圏での引けとなりました。

いっぽうユーロドルも基本的にドルとしては同様の動きを示し、米国内の暴動や会見を控えてのドル売りからじり高の展開を辿り、NYの朝方には1.1145レベルの高値をつけました。その後はドル買い戻しの動きに沿って東京前場の水準へと押す場面も見られましたが、ドル円とともにユーロ円の回が目立ったことから、ユーロドルは比較的底堅い地合いでの引けとなっています。

ドル円は月末実需を要因とした行って来い相場となりましたが、米国内での暴動やトランプ大統領会見を受けての中国の反応も考えると積極的なリスクオンには動きにくい状況です。NYダウも引けにかけては買い戻しも見られましたが、木曜を高値に上値が抑えられていますし、ドル円も月末を過ぎたことで改めて108円台のドル売りが意識される展開となってきそうです。本日も上がったところでは売りが出やすい地合いを考え、107.90レベルをレジスタンスに107.40レベルをサポートとする流れを見ておきます。

ユーロドルは先週は週を通して上昇を続け、若干の押しが入ると買いが強まるという回転で、1.08台後半から1.11台半ばへと水準を切り上げてきました。欧州委員会の復興基金を好感している動きが主要因ではありますが、欧州内でも金融政策にしても財政支出にしてもかなり温度差があり、すんなりと決まるかどうかは疑問です。しかも7500億ユーロのうち5000億は補助金でコロナウイルス被害の大きい国にばらまかれる予定です。ドイツ・スペイン案にも反対している国が出た以上、かなりの協議難航が予想されます。あまりユーロ買いで動くのもどうなのかというのが正直なところで、ユーロ円の動きを見ててもドル売りというよりはユーロ買いとなっていることは明らかです。本日はいったん調整が入りやすいと見て、ユーロドルが1.1070〜1.1130、ユーロ円はドル円の下げに注意しながら119.30〜119.90のレンジとします。



配信日:2020年6月1日