デイリーレポート(2020年4月23日配信)

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WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

ドル円は前日の上げに対する調整と上値の重たい株価が意識され東京市場ではドル売りが続き欧州市場序盤には107.51レベルの安値をつけました。海外市場に移ってからは株価指数先物が上昇を続ける動きを見て、NY市場前場には107.94レベルの高値をつけましたが、108円台ではドル売りオーダーが並んでいることもあって引けにかけては押しが入り、東京朝方の水準で引けています。

いっぽうユーロドルは、東京市場ではユーロ円も下げる動きからユーロドルは上値が重くなっていましたが、海外市場に入りユーロ円の上げとともにユーロドルも1.0885レベルまで買い戻しが入りました。しかし、ユーロ圏の経済指標が予想よりも弱かったことをきっかけにユーロ売りに転じ、前日安値を下回るとストップオーダーも巻き込みながらNY後場には1.0803レベルへと反落、引けにかけて若干戻しての引けとなりました。またECBがコロナショック後にジャンクとなった債券も購入対象とすることを発表しましたが、FRBに続いてある程度予想されていたこともあって目立った動きには繋がりませんでした。

ドル円は多少の上下はあるものの、方向性としては株式市場の動きを見て、株安ではリスクオフで円買い、株高ではリスクオンで円売りといった従来の動きに戻ってきているように見えます。ただ、ここに来て原油市場が改めて不安要因となってきていることや、実体経済は当然のように弱い状況ですから、株の上昇にも限界があり、ドル円もまた戻りは鈍いという流れになりがちです。そうは言っても最近のドル円はかなり落ち着いた動きとなっていて値幅も狭くなっていますので、当面は107円台後半を中心としたもみあいを続けやすいでしょう。本日は昨日のレンジを継続し107.50レベルをサポートに107.90レベルをレジスタンスとする動きを見ておきます。

ユーロは、ECBによる債券購入範囲の拡大、イタリアのロックダウン緩和方針と好材料も出ましたが、経済指標が悪すぎることやスペインではロックダウンの延長(その後、5月末には緩和方針)など、国によって状況が異なり安心できる状況とは程遠い状態です。そうした中で、前日安値を割り込むなどストップオーダーやテクニカルなユーロ売りが目立ち上値が重たい地合いとなってきています。仮に株価が下げに転じると今の状況ではユーロ円の下げがユーロドルの売りにもつながるという流れになりやすく、ユーロ売りにバイアスがかかりやすい地合いと言えるでしょう。本日も上値が重くなりやすいと見て、ユーロドルは1.0790〜1.0840、ユーロ円は上値の重たい流れを考え116.25〜75のレンジとします。



配信日:2020年4月23日