デイリーレポート(2020年2月25日配信)

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WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

週末を挟んでの動きを振り返ります。

金曜のドル円は東京市場では狭い値幅でのもみあいが続きましたが、欧州市場序盤に入り日経平均先物が下げる動きとともに調整のドル売りが先行しました。株価とともにドル高の流れへと戻すとNY市場朝方には東京前場の水準に戻しました。その後、弱い米国経済指標に反応し対ユーロでのドル売りの動きからドル円も反落。引けにかけては上値は重たいもののもみあいのまま週末クローズとなりました。
いっぽうユーロドルは東京市場では動かず、欧州市場序盤にドル円同様にドル売りがユーロ買いの動きとなりました。その後いったん押したものの、NY市場に入りドル売りが対ユーロで目立ち、前日高値を上抜けるとストップオーダーも巻き込みながら1.0864レベルまで上伸し、引けにかけては若干押して引けました。

東京が休場となった月曜のドル円はNY市場までは小動きとなっていたものの、週末の流れを受けドルの上値が重たい流れが続きました。NY市場では既にアジア時間の先物市場で売りが強まっていたダウが、新型コロナウイルス感染拡大による景気減速を懸念して大幅安となり、リスクオフからドル円も110.33レベルまで売られた後に110円台後半に戻して引けました。
いっぽうユーロドルは、週末のイタリアにおける感染者拡大のニュースを嫌気してギャップダウンしてのスタートとなりました。その後も上値は重く欧州市場序盤に1.0805レベルの安値をつけたものの、NY市場では株安・ドル安の動きからユーロドルは上昇、後場には1.0872レベルと金曜高値を上抜けた後にやや押しての引けとなりました。

ドル円は、テクニカルなドル買いの動きから一転リスクオフの円買いの動きとなりました。これまでもSARSの時の例や実体経済に与える影響が数字としても出始めていることから、先週までの株式市場は理由の無い楽観で動いているとしつこく言い続けてきましたが、ようやく今週に入り現実に目を向けてきたというところでしょうか。そして、冬の間は感染拡大はそう簡単には収まらないという予想を考えると、株式市場はもう一段の調整を見そうですが、為替市場は逆にそう簡単ではありません。テクニカルに2015年からのレジスタンスを抜けたことで、1月高値が短期的には強いサポートとなってきます。昨日安値も同水準を意識しての反転上昇となりましたが、多少の誤差を考えても110円の大台を下抜けることは困難です。ドル円は株式市場と逆行しての押し目買い狙い、110.50レベルをサポートに111.11レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

ユーロドルはイタリアでの感染者拡大が嫌気されましたが、人の移動は完全には停められず、また今回のウイルスは潜伏期間中にも感染していると思われることから、中国、東アジアだけでなく中東、欧州へと感染者が広がっているのも当然と言えます。そうなってくると、中国の減速に加え、欧州でも一段の懸念が広がることとなりますので、ユーロ売りとドル売りが交錯してユーロドルは基本的に横ばい、ユーロ円はドル円とユーロドルの動きから下げる動きになってくるでしょう。ただ、株式市場の動き自体は今更感が強いため、ドル円同様にユーロ円もまた下がったところでは買いが出てくるイメージです。本日はユーロドルが1.0825〜75、ユーロ円は119.85〜120.55のレンジとします。



配信日:2020年2月25日