デイリーレポート(2020年5月27日配信)

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WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

ドル円はユーロドル高に引っ張られてのドル安・円高が目立つ一日となりました。朝方は高く始まった株式市場と仲値に向けての実需のドル買いも重なって一時107.92レベルの高値をつけましたが、東京市場では底堅いものの108円は試せず上値の重さを再認識させる結果となりました。欧州市場に入りユーロ一段高の動きをきっかけに反落、107.40の安値を見た後NY市場では買い戻しが入ったものの、再び売られる流れでの引けとなりました。

いっぽうユーロドルは、東京市場から底堅い動きとなっていたものの、欧州市場序盤に特段の材料がない中でポンドドルの買いが入り、それをきっかけに欧州通貨全般に上昇、ユーロドルも若干の遅れはあったものの1.09台半ばへと上昇しました。その後もペースは鈍くなったものの底堅い展開が続き、NY市場でもユーロが対ドル、対円ともに買いが目立ち、後場には1.0996レベルの高値をつけましたが、大台は試しきれずに若干押して引けました。

ドル円は今回も108円水準での上値の重さを確認した格好となりましたが、先月の日銀短観にあった想定為替レートが107.93であったことから108円には実需のドル売りが並んでいると考える参加者が多いようです。また株高で他の金融市場も安定していることから、本邦個人投資家はドル円はレンジの中で上がったら売り、下がったら買いという逆張りリピートも動きを止めやすくなっていると言えそうです。週末に向けては中国の香港治安強化と順みん現安誘導が米中対立激化を招きリスクオフの動きが出やすくなる可能性には注意したいところです。本日のところは若干上値の重たいもみあいと見て、107.30レベルをサポートに107.70レベルをレジスタンスとします。

ユーロドルはポンドとともに大きく買われる一日となりましたが、復興基金構想に反対する動きや、ドイツ憲法裁判所の判断を考慮しECBの緩和策からドイツを外す構想もありと、どちらかというとユーロ売りにつながりやすい材料のほうが多い現状です。高値も1.10の大台手前で折り返したことから、本日は昨日の調整も含め上値の重たい展開となりやすいでしょう。ユーロドルが1.0935〜1.0985、ユーロ円は117.55〜118.05のレンジとします。



配信日:2020年5月27日