デイリーレポート(2020年5月19日配信)

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WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

週明けのドル円は多少の上下は見られたものの東京前場はもみあいを続けていました。株式市場は朝方から強い地合いとなっていましたが後場に入りドル円も徐々に底固めをして海外市場に移ってからはリスクオンの動きがNY前場まで続きました。NY市場では治験段階で新型コロナウイルスに有効なワクチンが認められたことをきっかけに株式市場は大幅高となりましたが、ドル円はユーロドルが急騰したことでドル売りとユーロ円の買いに挟まれ107円台前半でのもみあいとなりました。

ユーロドルは東京市場では動かず、欧州市場序盤にドル買いの動きに沿って下押しが先行しましたが、ドイツとフランスがEUの経済再建のため5000億ユーロ規模の基金を提案とのニュースに反応し大幅高。欧州市場前場には1.0800レベルの安値をつけていましたが、NY後場には1.0927レベルの高値をつけそのまま高値圏での引けとなりました。

ドル円は株高によるリスクオンの円安とユーロドル上昇によるドル安とが相殺した動きとなっていますが、各国とも本格的に経済を再建するためあらゆる手を打っています。株式市場も新型コロナウイルスのワクチン量産が視野に入ってきたことを好感していますが、活動再開の段階に移っても以前の常態に戻るのはまだだいぶ先のことです。国内でも活動が再開した地域の状況がニュースでも出てきますが、劇場では人との距離を保つため定員の15%程度しか入れない等、多くの施設の売上高は大幅減の状況が続きます。

しつこいようですが、期待ばかりを先行させているとハシゴを外されるリスクがありますし、米国のファーウェイへの禁輸など米中対立も目立っています。株式市場が下がる時には従来型リスクオフの動きとなりやすいため、その点にだけは常に警戒していたいところです。ただ本日も何もなければ基本は107円台前半で底堅い動きになりそうですから、107.20〜60のレンジを見ておきます。

ユーロドルはEU経済再建基金が好感されてユーロ大幅高となりました。ただ、4月以降の動きでは大台1.10が強いレジスタンスとなっていますので、今回も基金のニュースだけで1.10の大台を上抜けていく動きは考えにくいところです。昨日の今日ということで本日のところは底堅い動きを続けるとは思いますが、欧州はもともと悪材料が多い状況であったことを考えると、こちらも期待だけで書い続けることも困難でしょう。本日は押し目買いが出やすい流れを考え、ユーロドルが1.0880〜1.0940、ユーロ円は116.90〜117.50のレンジとします。



配信日:2020年5月19日