デイリーレポート(2020年5月11日配信)

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WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

ドル円は株高の動きを見ながら底堅い動きながらもNY市場に入るまでは106円台前半の狭いレンジの中での動きに終止していました。NY市場に入り発表された雇用統計は予想通りの大幅な悪化となりましたが、予想の範囲内だった安心感(?)から最初の反応はドル買いとなりました。その後は米金利の低下と上昇に沿って、ドル売りとドル買い直しという動きを見せて引けました。

いっぽうユーロドルは、基本的にドル円同様でNY市場まではドルの底堅さからユーロは上値は重たいものの狭いレンジでの取引を続けました。雇用統計後の動きも同様ではあったものの動きは鈍く、引けにかけては改めて上値の重たさを感じさせる動きとなりました。

金曜の雇用統計は失業率が14.7%、NFPはー2050万と予想通りの悪い数字となりましたが、想定内という反応は本当に正しいのかという疑問が残ります。これらの数字は戦後最悪の数字であることや、実際には今回のコロナショックで職探しを諦めている層もあり、実際には5人に1人が失業したという推測もあります。コロナ禍が去れば、必ず回復するということも事実ですが元に戻るにはある程度の時間が必要でしょうし、その間の実体経済の悪さはかなりのものとなるはずです。

冷静に考えるとコロナ後の期待だけで株高、リスクオンと動くのはどうかなというのが正直なところで、数年後を見越すならばリスクオンでよいでしょうが、夏に向けてという時間ならばそこまで楽観的に慣れるのかというと個人的には難しいのではないかと考えています。本日もドル円は買われるようならば、戻り売りを考えたいところです。

またユーロも現状はドル円と似たようなドルの動きを示していますが、若干上値が重たいという状況だと思います。こちらもユーロが下げるようであれば買いで良さそうですが、上がったところでは売りも残っている印象です。本日の参考レンジとして以下を示しておきます。

 ドル円  106.40〜106.90
 ユーロ  1.0815〜1.0865
 ユーロ円 115.35〜115.85



配信日:2020年5月11日